日本政府の提出した、出入国管理及び難民認定法改正案の問題点
難民申請に新たな制限
難民認定を申請している間は強制送還が停止される現行法を変更し、申請回数を原則2回までとし、3回以上申請した人はいつでも強制送還できるようにする。さらにそれを拒否すれば、刑事罰を科す。難民や難民申請者を送還することは、国際的に禁止されている(ノン・ルフールマン原則)。日本も加入する難民条約は、人種や宗教、政治的な意見を理由に迫害される恐れがあり、国外に逃れた人を難民と定義し、加入国に保護を義務づけている。
新たな「監理措置」制度
長期収容に替えて、親族や支援者、弁護士など「監理人」の監理のもとで生活することを認める「監理措置」制度を新設する。しかし、これを認めるか否かは入管当局次第で、裁判所の審査はない。収容期限の上限も設けられておらず、長期収容の解決策となっていない。また、監理人は対象者の生活状況・許可条件の遵守状況を管理・監視し、入管当局への報告義務を負う。義務違反が生じれば、過料の制裁が科される。
対象者に監理措置が認められれば、収容から解放されるが、そのためには最高300万円の保証金納付が必要となる。また、就労は禁止され、健康保険にも加入できず、国際的な「収容代替措置」が重視する、人権の尊重や生活の保障は満たされていない。
在留特別許可の条件
1年を超える実刑前科等を受けた者は原則、在留特別許可を認めない。これまで3年以上の懲役刑を受けた人でも、日本に育ったなどの事情を考慮して在特が認められたケースもあったが、今後は原則認められず、「家族が同じ場所でくらす権利」「子どもの最善の利益」は考慮されなくなってしまう。