外国人収容所では、暴力・自殺・放置死・難民の強制送還が起きている。だが、収容所では写真などがいっさい禁止され、情報公開を請求しても、黒塗りの紙でしかかえってこない。無法かつ暗黒の世界で、収容者はもがき続けている。そこにひとすじの光をあてたのが、『牛久』である。
アメリカ合衆国は、すぐれたドキュメンタリーを数おおくうみだしてきた。映像作家がタブーに挑戦しつつ、社会の暗部をえがきだしているからである。その伝統をうけついだ作品が、日本にあらわれた。日本の土壌に伝統の種がまかれ、花をさかせたのである。